おたかのシネマでトーク
今日は「ダイヤモンドの犬たち」をご紹介しました。
監督 バル・ゲスト
出演 テリー・サバラス、ピーター・フォンダ、ヒュー・オブライアン、クリストファー・リー、O・J・シンプソン、モード・アダムス
今年8月16日、肺がんによる呼吸不全で79歳の人生を閉じたピーター・フォンダ。
アメリカを代表する名優ヘンリー・フォンダの息子で、“セックスシンボル”“ワークアウトの女王”ジェーン・フォンダの弟、という家庭環境は、結構きつかったのではないかと思う。
でも、娘のブリジットや息子のジャスティンが女優やカメラマンとして活躍しているのを見ると、血は争えないというところか・・・。
俳優として、又監督として映画を作り、自らの製作会社を設立し“アメリカン・ニュー・シネマ”の代表作ともなった「イージー・ライダー“を製作し出演もした。
1969年に公開されたこの「イージー・ライダー」で、自由の意味を模索しながらハーレー・ダビッドソンにまたがり、アメリカを横断するワイアットを演じた彼は、1970年のアカデミー賞で、共演したデニス・ホッパーらと共にオリジナル脚本賞にノミネートされた。
今年、公開から50周年を迎え、再び全米の映画館で上映されるなど注目され、ピーター自身もコンサートや上映会の予定を立てていたらしく、その矢先の残念な死だった。代表作というと「イージー・ライダー」ということになるかと思うが、今日はあえて、B級作品にも多く出演している中から「ダイヤモンドの犬たち」をとりあげた。
1976年の公開で、砂漠や岩場をジープで疾走する壮絶なカーチェイス、銃撃戦、果てはヘリコプターによる脱出劇まで、「刑事コジャック」のテリー・サバラス、ドラキュラ役など怪奇映画の大スターのクリストファー・リー、「007黄金銃を持つ男」「007オクトパシー」のボンドガールのモード・アダムス、それにO・J・シンプソンなどのスターの出演と、当時「狼の賭け」「雨のエトランゼ」「扉のかげに誰かいる」「哀愁のパリ」などでいい音楽をつくっていたギリシャ出身のジョルジュ・ガルヴァランツのご機嫌なサウンドに乗せて、当時としては小気味いいテンポで見せてくれる。
実はこれ、劇場公開と後にTVで放映された時のエンディングが違うという、とんでもない映画で、ヘリで逃げ切ったピーター・フォンダとモード・アダムスを見送ったテリー・サバラスが“地球は狭い、きっと見つけるさ”というセリフと共に、サングラスを外した彼の顔のアップでエンドロールが流れるのが劇場版。
一方TV版では、テリー・サバラスがライフルでヘリを破壊して終わりと、全く違うエンディングになっている。
DVDには、この2つのエンディングが収められているのだが、TV放送時の原版が見つからず、放送の録画素材の画質の悪いバージョンが特典映像として添付されているというとんでもない状況で、昔はこんなことが許されていたのかと、ちょっとビックリ!
この後、1997年公開の「木漏れ日の中で」(Ulee’s Gold)で、第55回ゴールデングローブ賞の主演男優賞に輝いたり、第70回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたりで、演技派であることも証明したピーターだったが、残念ながらこの作品、日本では劇場公開されずVHSでの発売のみだった為、日本では今も「イージー・ライダー」やB級映画のイメージしかないのが残念なところ。
ハリウッドでの生活を嫌いモンタナの山里で自由気ままに暮らし、2011年に71歳で3度目の結婚を発表したという生き方は、彼らしい人生と言うほかない!!
正にアッパレ~!
★おたか★