*おたかのシネマDEトーク
今日は「 21ブリッジ 」をご紹介しました。
監督:ブライアン・カーク
キャスト:チャドウィック・ボーズマン
シエナ・ミラー
ステファン・ジェームズ
キース・デビッド
テイラー・キッチュ
他
本当にもったいないと思う。
溢れる才能を持ちながら、43歳で昨年の8月28日にこの世を去ったチャドウィック・ボーズマン。
実は彼は今年の第93回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされていて、死後にオスカーを受賞する3人目の男優になる可能性が高いと言われているのだ。
でもそれは今日紹介した映画ではなく、Netflixで去年の11月から配信されている「マ・レイニーのブラックボトム」というブルースの母と呼ばれた実在の歌手と野心家のトランぺッターを通じて、理解し合えない人種間の根深い問題を描いている作品の、トランペッターのレヴィ―役でのノミネート。
他にも同じNetflixのオリジナル映画、スパイク・リー監督の「ザ・ファイブ・ブラッズ」で演じたベトナム戦争の黒人部隊のノーマン隊長役でも高い評価を得ている。
これらの作品の撮影はガンとの闘病を続けていた時期に行われていて、病状をごく一部の人にしか知らせていない中、治療を受けながら撮影が行われたようだ。
で、彼の遺作となったのは2020年の「マ・レイニーのブラックボトム」だが、この「21ブリッジ」は劇場公開映画としてのラスト作品で、主演だけでなくプロデューサーとしても関わっている。
13歳の少年が父親の葬儀に参列しているシーンから始まるのだが、殉職した偉大な警察官だった父を殺した犯人に対する強い怒りを持ちながら、19年後、その少年アンドレ・デイヴィス(チャドウィック・ボーズマン)はNYPD(ニューヨーク市警)の殺人課の刑事になっていた。
ある夜、ブルックリンのレストランにレイ(テイラー・キッチュ)とマイケル(ステファン・ジェームズ)という2人の男が押し入った。地下のワインセラーに隠されたコカインを盗むという仕事を請け負った彼らがそこで見たのは聞かされていた量の10倍もの大量のコカイン。嫌な予感がしたタイミングで、なぜか警官たちがやってくる。
そこで激しい銃撃戦となり、レイ達は警官たちを射殺して逃げる。
凄惨な現場にやって来たアンドレに、NYPD85分署の署長のマッケナ警部(J・K・シモンズ)は、優秀な麻薬取締班のフランキー・バーンズ刑事(シエナ・ミラー)とチームを組んで捜査に当たるように言う。
レイとマイケルは麻薬を換金してニセの身分証を作ってくれるというアディ(アレクサンダー・シディグ)のところに行くが、なぜかそこにもNYPDの警官たちが駆けつけてきて銃撃戦になり、なんとアディは撃たれ、死に際にUSBをマイケル達に託す。
なにかおかしい・・・と感じるマイケルたち。同時に彼らを追うアンドレも、どこか違和感を感じ出していた。
そして、彼らを殺さず捕まえて事件の真相を探ろうと、逃げ込んだマンハッタン島を21の橋、トンネル、鉄道、すべてを止めて、完全に封鎖する作戦に出る。
1973年のシドニー・ルメット監督の「セルピコ」は、NYPDに蔓延する汚職や腐敗に立ち向かう警察官を描いた実話で、アル・パチーノが演じたフランク・セルピコの、公的権力への信頼を失っていた70年代のアメリカで、瀕死の重傷を負いながらも法の精神に忠実であろうと孤軍奮闘する姿を描いた名作だったが、どこかあの映画を思い出すような展開は、本当にスリリング!
監督はTVの「ゲーム・オブ・スローンズ」などを撮っているアイルランド出身のブライアン・カーク。
製作はあの“アベンジャーズ”シリーズのアンソニーとジョーのルッソ兄弟。
チャドウィック・ボーズマン、2008年「エクスプレス 負けざる男たち」でアメリカンフットボール選手のフロイド・リトルを演じ、2013年「42~世界を変えた男~」で伝説の野球選手ジャッキー・ロビンソンを、2014年の「ジェームス・ブラウン~最高の魂を持つ男」ではあのジェームス・ブラウン・・・と実在の人物を見事に演じ、2018年「ブラックパンサー」ではマーベルコミックのスーパーヒーロー、ブラックパンサーで、ワカンダの若き王でもあるティ・チャラを演じて人気を博し、続編の製作も決まっていた中での突然の訃報には本当にビックリした。
配信も含め公開作品が続いていて、まだ亡くなったことが実感できないところもあるが、痩せた頬とかすれた声には心が痛む。
今年、是非オスカーに輝いてほしい・・・と、心から思うのだ。
★おたか★
- 4月7日*おたかのシネマでトーク「モンスターハンター」
- 4月14日*おたかのシネマでトーク「21ブリッジ」
- 4月21日*おたかのシネマでトーク「椿の庭」