北の桜守でした!
監督
滝田洋二郎
出演
吉永小百合
堺雅人
篠原涼子
岸田一徳
佐藤浩市
吉永小百合さん主演の、2005年の「北の零年」2012年の「北のカナリアたち」に続く、北海道を舞台にした“北の三部作”の最終章を飾る3作目。
そして、吉永小百合さんの120本目の映画という記念すべき作品。
監督は「おくりびと」で2009年のアカデミー外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎。
脚本は、北の三部作をすべて手掛けている那須真知子。
1945年5月の南樺太。
製材所を営む江蓮家の庭に、江蓮てつ(吉永小百合)が大切にしている桜が花開いた。
夫の徳次郎(阿部寛)が本土から持ってきた種から育てた桜、これからは毎年、満開の桜を家族そろって見ようとの約束は、その年の8月のソ連軍の侵攻によって、無残にも打ち砕かれる・・・。
満月の日、美しく咲く桜の下に、家族4人で集まろうとの約束をして、徳次郎は現地に残り、てつは幼い2人の息子と共に、決死の思いで北海道に引き上げる。
命からがら辿り着いた北海道の網走での生活は、飢えと寒さで、想像を超える過酷なものだった。
時は流れて1971年、アメリカに渡って成功した次男の修二郎(堺雅人)が妻(篠原涼子)を伴って、ホットドッグチェーンの日本社長として帰国。
15年ぶりで母の元を訪ねた彼は、年老いたその姿に驚き一緒に住もうと引き取るが、立派になった息子に迷惑をかけたくないと、一人で網走に帰ってしまう母。
そんな母を追って行き、二人で思い出の地を巡りながら、共に暮らした記憶を取り戻そうとする親子。
苦難を共にしてきた樺太時代からの友人山岡(岸部一徳)、いろいろと助けてくれた菅原(佐藤浩市)。
懐かしい再会で、失われた家族の記憶を取り戻すことはできるのか?
凄惨な展開の部分を、ケラリーノ・サンドロヴィッチの演出で演劇の形をとって描いたという手法が面白い。
長い女優人生の吉永さんにとって、なんと舞台は初めての経験だったそう。観客が想像力を働かせて観る舞台劇の手法を取り入れたのは、不思議な効果を上げている。
その舞台のフィナーレで、吉永小百合さんと阿部寛さんを中心に歌われる小椋佳作詞作曲の“花、闌の時”では、堀内孝雄さんの息子のHoriuchi Kohei や、仙石みなみ、Bitter&Sweet の二人もコーラスで加わり、桜に託した、てつの想いに、心揺さぶられ、涙してしまうのです。
そこそこの年齢の設定の筈なのに、何ともお美しい吉永さん!
まさに女優の中の女優、輝いてらっしゃいます!