宇都井駅は地上20mにある駅です。1975年(昭和50年)に三江線全線開通に伴い造られた駅舎なのです。下から見上げると良くもまあこんな駅を造ったものだと思わずにいられません。
建物でいうと6階建てに相当。
土筆越しに駅の全景
ラストランまでは駅舎及び駅周辺のLEDライトアップがされているようです。ドーム型の行燈、薄のような白いグラスファイバーに灯りが灯るのだそう。
桜はまだ咲いていませんでしたが梅の花はほぼ満開でした。
地上20mにあるホームに上がるには116段ある階段を昇らなくてはなりません。エレベーターはありません。
階段の壁にはあと何段の表示も。
地元の子供たちが書いた地域のPRなどとともに掲示されています。
長源寺のしだれ桜はおすすめだそう。
あと6段の表示
ホーム脇には待合所が設けられていますが、そこには何冊ものノートが置かれています。宇都井駅を訪れた人に旅の思い出をつづってもらおうと、地元に住む松島喜久恵さんが任意で用意されたものです。
現在27冊目。この駅を訪れた人たちが色々な思いを綴っています。中にはリアルな三江線車両のスケッチ画もありました。
このノートを20年にわたって管理されている松島さんにお会いできました。なんと大正15年生まれで御年92歳!杖をつき手すりにつかまりながら116段の階段を一人で上ってこられました。もちろん帰る時には一段一段自分の足で下りて行かれます。駅を訪れた人が書き込むノートを読むのが楽しみだそうで、残りのページが少なくなれば補充したりもされています。廃線が決まったことについては「赤字だから仕方ないが寂しい」と仰っていました。
ホームからの眺め。のどかな風景が広がっています。
真下は田畑
11:09に宇都井駅を出発。3時間ほどの待ち時間は意外にも早く感じました。ホームの下では地元の人たちが旗を振り、手を振りして見送ってくれました。
車窓からは雪をかぶった三瓶山が見えました。
12:18に石見川本着。この列車はすし詰め状態。300人ほどの人が乗っていたそう。
改札を出ておもてなしサロンに行くと乗車記念切符がもらえました。
ここでは様々な記念グッズが販売されていました。
改札口では川本町の三宅町長(右)と川本町観光協会の大久保さんが出迎えて下さいました。
石見みえさんもお出迎え。
そしてスパイダーマンも駆けつけてくれました(笑)
昼食を済ませ13:45発の列車に乗り江津へ向かいます。高齢者施設の方々も列車に向かって手を振ってくれました。
雄大な江の川の流れ
旅の記念にと購入した邑南町にある池月酒造の純米酒。
三江線路線図入りのラベルです!4合瓶も販売されていましたよ。
駆け足ではありましたが今一度三江線に乗ることが出来ました。そしていろんな人との出会いもあった旅でした。
川と山のわずかな隙間を縫うように走る三江線。その車窓からの眺めがもう見られなくなってしまうのはとても残念ですが、沿線自治体では個々に廃線後の駅舎や路線の活用など検討されているようです。鉄道が無くなった町は廃れてしまうといわれますが、そんなことが無いように少し時間を置いてまた訪ねてみることにしよう。