神戸の老舗料亭「松廼家」がこのほど異人館が建ち並ぶ神戸北野へ移転。きょう12月10日(木)に営業を始めます。
「松廼家」は1917年(大正6年)に神戸花隈で創業。作家の川端康成や俳優の石原裕次郎をはじめ多くの財界人や文化人に愛された店として知られています。1995年(平成7年)の阪神淡路大震災で数寄屋造りの建物は全壊。その後三ノ宮駅前の神戸交通センタービルで懐石レストランとして営業していましたが新型コロナウイルス感染拡大の影響で休業していました。
そんな中、松廼家を運営するエムズブランディングとJR西日本が共同で兵庫・神戸エリアの食や伝統芸能などの文化体験を提供する場づくりをしようとJR西日本が所有する三宮ゲストハウスを活用して実証実験を始めることになりました。
三宮ゲストハウスは和風の主屋に洋風の応接室をつなげた和洋折衷の建造物で、貿易商の大林保吉の住宅として1907年(明治40年)に竣工。その後神戸の海運業者である乾家が購入しました。
戦後は国鉄の三宮寮として運営され1987年(昭和62年)からJR西日本が保有している神戸市指定の伝統的建造物です。
枯山水の庭も素敵です。
1階の格調高い特別和室の「松の間」
同じく1階にある春に藤の花を愛でることが出来るという「藤の間」
2階の昼御膳が提供される「桜の間」
また2階には展示室が設けられ松廼家の103年の歴史を振り返る写真や色紙などが展示されていて食事の前後に見ることが出来ます。石原裕次郎さんや田中角栄元首相の写真もありましたよ。
料理は「本懐石」は15,000円~、「昼懐石」は5,000円~でいずれも事前予約が要りますが、予約なしで利用出来るのが「昼御膳」。
ひと足早く試食させていただきました。
最初に運ばれてきたのは松廼家の家紋の入った二段重
蓋を開けると淡い紫色をした料理が!これが「明石たこのやわらか煮」
下の重にはごぼうと岩津ねぎを使った料理と茶碗蒸しのような器がありました。
温かいうちにとすすめられ匙ですくって口に入れると茶碗蒸しではないことがわかります。
生クリームベースの洋風フランで上には銀餡がかかっていて、中には神戸市北区の弓削牧場のカマンベールチーズが入っていました。
ご飯ものは柔らかく煮込まれた牛ほほ肉を揚げた贅沢なカツ丼。
米は農薬に頼らない但馬の「コウノトリ育むお米」で、奈良漬を細かく刻んだ混ぜご飯。そして上にかかった泡は大根の汁を泡立てたものだそう。尚椀はすまし汁ではなく牛スープに岩津ねぎやきのこが入ったものでした。
そしてデザートは大納言小豆を使ったぜんざい。中の餅はほんのり柚子の香りがしました。
和洋折衷の建造物でいただく料理も和洋折衷。目で見て舌で味わって2度ビックリさせられました。これで2,500円(税別)時々利用したと思いました。地元食材を使い、異文化の香りのする料理を提供していくとのこと。次に何が出てくるのか楽しみです。
エムズブランディング代表で松廼家4代目女将の鵜殿麻里絵さんは「震災後23年やってきたが思い描いた料亭とはかけ離れていた。これからはコロナ後を見据えつつ、こだわりを持った料亭らしい食文化や伝統文化を提供する場にしていきたい」と話していました。
今月27日には淡路人形浄瑠璃にミニ講座と淡路の食材を使った料理を提供する会が催されます。
松廼家(MATSUNOYA)
神戸市中央区北野町4丁目2-5
三宮ゲストハウス内
(ハンター坂を上がり異人館通りを西へ約50m山側)
078-862-6077
080-8071-7807
kobe@matsunoya1917.jp
営業時間 11:00~15:00
17:00~22:00
月曜定休
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