おたかのシネマでトーク
今日は「散り椿」をご紹介しました。
監督 木村大作
出演 岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子
長らく日本映画の名キャメラマンとして黒澤明を始め多くの監督に信頼され映画作りに携わってきた木村大作が、監督として初メガホンをとったのは2009年公開の「剱岳 点の記」。
その後2014年の「春を背負って」を経て、3本目の監督作品になるのがこの「散り椿」。
直木賞作家の葉室麟の原作を、その受賞作「蜩ノ記」を監督した小泉堯史が今回脚本を担当し、監督と撮影が初の時代劇監督に挑んだ木村大作という最高のスタッフ、俳優陣も岡田准一、西島秀俊、黒木華、麻生久美子、池松壮亮、奥田瑛二、富司純子、石橋蓮司といった豪華版。
今年の第42回モントリオール世界映画祭で、グランプリに次ぐ審査員特別賞を受賞し、絵画的と絶賛を受けた。
オールロケで、本当にどのシーンも絵になる撮影場所は富山県。
初監督作品では剱岳、2本目では立山連峰を舞台に撮った木村大作、今回も立山大橋や眼目山立山寺、采女の居宅として使われた豪農の館内山邸、長慶寺五百羅漢など、富山の美しい風景をバックに、侍たちの凛とした生き様と、愛する女性の為には命を懸けて闘うという切ない愛の物語が紡ぎだされるのだ。
2018年は、富山で初めて映画が上映されてから120年の節目の年に当たるそうで、映画人生60周年の木村大作が富山の地でこの映画を作ったのにも何か不思議な縁があるのかも知れない。
静謐な風景の中で繰り広げられる未だかつて見たことの無いようなダイナミックな殺陣、飛び散る血しぶき。
タイトルの散り椿は、正式名称が五色八重散り椿というそうで、椿特有の首からポタッと花が落ちるという散り方ではなく、花弁が一片ずつ散っていき、しかも一本の樹に白から紅までのいろんな色の花をつけるという珍しい椿なのだが、その椿の前での瓜生新兵衛(岡田准一)と榊原采女(西島秀俊)の一対一の対決は凄まじく又、美しい。
新兵衛の妻の篠(麻生久美子)その妹の里美(黒木華)という女性たちが大きなパートを占め、愛の物語になっているのも、女性ファンも納得の時代劇に仕上がっている要因の一つかも。
一番最後に、“葉室麟に捧ぐ”という字幕が出て、昨年の12月23日に66歳で亡くなった遅咲きの作家の死が改めて思い起こされ哀しかった。
50歳を超えて本格的な作家活動に入ったまさに遅咲きの作家だけど、多くの歴史小説を残した彼の、他の作品の映画化も楽しみに待ちたいところだ。
★おたか★
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