*おたかのシネマでトーク
今日は「 TENET テネット 」をご紹介しました。
監督: クリストファー・ノーラン
キャスト:ジョン・デヴィッド・ワシントン
ロバート・パティンソン
エリザベス・デビッキ
ディンプル・カパディア
マイケル・ケイン
他
時間って何?
時間は普遍的でありながら、時間の捉え方は、人によって違う。
1分は60秒、1時間は60分、1日は24時間・・・、人間に与えられた時間は平等だけど、感覚的にはあっという間だったり、延々と持て余すほど時間が経つのが遅かったりと、人それぞれ、場面によっても違うという不思議なモノ。
しかも、時間は過去から未来に向けての一方向にしか進まない。一度放ってしまった矢は戻ってくる事がないという例えで“時間の矢”と呼ばれていて、何故、時間は過去の方向に進まないかは物理学の未解決問題の一つと言われている。
それでも、タイムトラベルものでは、時代を遡って過去の世界に行けたり、遠い未来に行けたりと、自由に時間の壁を越えていけるのだ。
でもそれにも限度があって、時間を飛び越えて行き来するのは、タイムマシンを使ったり、いろいろと大変。
そしてこの「テネット」のように、何度も何度も時制が行ったり来たりすると、もうなんだか訳が分からなくなってしまう。
そう、この作品を一度観て、すべて理解できたという人がいたら、お目にかかりたいぐらい複雑なのだ。
確かにこの映画、何度か観ないと分からない。理解できない。
セイター役のケネス・ブラナーも、”理解しようとするのではなく、感じてほしい“と言っているが、こう何度も行ったり来たりだとすると、今はいつ?という始末。
名もなき男(ジョン・デイビッド・ワシントン)は、米海兵隊特殊部隊出身で、格闘、武器の扱いにも長け、人類を救う極秘ミッションを与えられたスパイ。
ニール(ロバート・パティンソン)は、共に戦う部下。
現代人を殲滅する為、時間を逆行してくる未来からの脅威と闘うということで、ロシアの武器商人で現在と未来の仲介人のセイター(ケネス・ブラナー)と、その妻キャット(エリザベス・デビッキ)と出会う。
回転ドアのような時間を行き来する装置を使い攻撃を仕掛けてくる未来人の目的“アルゴリズム”とは???
監督・脚本・製作はクリストファー・ノーラン。
2000年の「メメント」で、妻を殺害され自身も傷を負い、10分間しか記憶を保持できない記憶障害になった男の復讐を、犯人を射殺するシーンから始まり、時系列を遡っていくシーンはカラーで、時系列順はモノクロでという画期的な手法で描き話題を呼んだが、今考えるとあれはまだわかりやすかったと言えるのかも?!
2008年の「ダークナイト」から使い始めた、IMAXカメラ。デジタルカメラでの撮影が主流の現在にあって、IMAXカメラとフィルムによる撮影にこだわり、しかも、今作はエストニア・イタリア・インド・デンマーク・ノルウェー・イギリス・アメリカと各地で撮影が行われ、特にエストニアは、冒頭のキエフのオペラハウスのテロ事件のシーンや首都タリンの高速道路での大チェイスシーンで、3週間も道路を封鎖して撮影が行われるなど、とにかく徹底的にこだわりぬいて作り上げるクリストファー・ノーラン監督の7年がかりの企画。
“映画に何ができて、どこへ連れて行ってくれるか、その可能性を感じてもらいたい”という監督の言葉。
難解だけど、何回も観たい・・・、映画の持つ無限の可能性を感じた2時間半だった。
★おたか★