ーーーおたかのシネマでトーク
今日は「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」をご紹介しました。
監督 ジョー・ライト
出演 ゲイリー・オールドマン、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ、スティーヴン・ディレイン、ロナルド・ピックアップ、ベン・メンデルソーン
今年のアカデミー賞で、ゲイリー・オールドマンが“主演男優賞”
そして、彼の特殊メイクを担当した日本人の辻一弘さんが“メイクアップ&ヘアスタイリング賞”を受賞したということで大いに話題になった作品。
京都生まれで、現在はロサンゼルスに在住の辻さん、特殊メイクの仕事を離れ、2012年以降は彫刻の分野で現代美術家として活躍中のところ、G・オールドマンから『貴方がメイクアップを引き受けてくれないなら、出演しない』とまで熱望され、復帰。
ただ、G・オールドマンとチャーチルは全く似ていない!ということで、苦労もあったらしい。
カメレオン俳優の異名をとるほど、いろんな姿でスクリーンに登場してきたG・オールドマン。
実在の人物を演じることも多く、「シド・アンド・ナンシー」ではパンクロッカーのシド・ビシャスを、「JFK」では狙撃犯のオズワルドを、「不滅の恋/ベートーヴェン」ではベートーヴェンを演じている。
実在の人物を演じる場合、どこまで本人に似ているかということも重要なポイントで、その点このチャーチルは写真などで観たことのある、あのチャーチル首相そのもの!
第2次世界大戦の勃発から8か月後の1940年5月10日、
自らの所属する保守党の党員からも冷たい視線を向けられながら首相になったチャーチル(ゲイリー・オールドマン)。
その首相就任前日からの27日間の過酷な試練の日々を描いたのがこの映画。
当時の国王は、あの2010年の「英国王のスピーチ」でコリン・ファースが演じたジョージ6世。
そして、フランスのダンケルクに取り残された自国の兵を帰還させる“ダイナモ作戦”は、クリストファー・ノーラン監督の2017年の映画「ダンケルク」で描かれている。
それらの映画をリンクさせると、よりリアルな当時の状況や人物の考えや動きを知ることが出来、興味深い。
葉巻とお酒が大好きで、20世紀最高の雄弁家といわれたチャーチル。読書家で記憶力がよく、人の2.5倍の語彙を持ち、いろんな名言も引用し、易しい言葉で語りかける演説は人々の心を打った。
苦悩の末、ヒットラーと和平交渉ではなく徹底抗戦を選んだチャーチルを支えた人たち、中でも妻のクレメンティーン(クリスティン・スコット・トーマス)と専属タイピストのエリザベス・レイトン(リリー・ジェームズ)ら、女性たちのサポートは大きかったようだ。
特に56年間連れ添った妻との結婚は彼が成し遂げた最も偉大な出来事だったと語っているように、妻クレメンティーンは、彼の心の友であり、良心であり、批評家としても、公私にわたって、パートナーとして必要不可欠、唯一無二の存在だった。
この点では、G・オールドマンはちょっと違い、一人の女性と添い遂げることはせず、女優のユマ・サーマン、19歳年下のジャズシンガーらと結婚し、映画で共演したイザベラ・ロッセリーニと同棲したり、いろいろお盛ん!
現在の奥様ジゼルは5番目の妻。しかも、この映画の撮影中に、チャーチルの扮装のままプロポーズしたというから、チャーチルとオールドマン、この二人全く似ていないですね~!
★おたか★
過去ログ… 4月4日 放送 おたかのシネマでトーク 「レッド・スパロー」