CRKラジオ関西

  • radiko.jp いますぐラジオ関西を聴く

三上公也の朝は恋人

  • 2024年9月17日(火) 03時08分 バス

    大飯発電所見学ツアーに参加してきました

    先日福井県おおい町にある関西電力大飯原子力発電所を訪ねました。若狭湾国定公園の豊かな自然に囲まれた大島半島の先端にある原子力発電所です。大阪から貸切バスに乗車し2時間40分ほどで「エルガイアおおい」に到着。

    ここはエネルギーの未来を体感するミュージアムでPR館の位置づけの施設です。原子力研修センターが併設され、発電所の運転員が訓練している様子をガラス越しに見ることが出来ます。

    ここでまずは大飯原子力発電所の基本情報を学びました。
    日本国内には現在60基の原子力発電施設がありますが再稼働しているのは12基。大飯原発には4基の発電施設があり3号機と4号機が稼働しています。1号機と2号機に関しては2018年に廃炉が決まり解体・撤去作業が行われています。福島第一原発事故後に定められた新しい基準の中で、発電所の安全や品質の確保を最優先に考えた結果廃炉を決めたとのことで、廃止措置工程を4段階に分け約30年かけて解体・撤去作業を行っていく計画です。これまで大飯原発1号機と2号機が発電した電力量は福井県内約60年分の使用電力量に相当するそうです。

    ここから再びバスに乗車。

    若狭湾の青い海、その向こうには数々の鉄塔が建ち並び発電所に近づいてきた感があります

    20分ほどの移動で大飯発電所ビジターズハウス・おおいり館に到着

    ここで入構手続きをします。事前申し込み申請書に書かれた書類を基に本人確認し、身体チェックなどを受けて構内専用のバスに乗車。なおカメラ撮影はもちろん、バッグなど私物の持ち込みは不可ですべてロッカーに預けます。ゆえに構内で撮影した写真は一切ありません。
    発電所構内ではVRスコープを使った原子炉格納容器内部やタービン建屋内の様子などを見たり、バスを下りて使用済み燃料ピットなどを見学しました。
    原子力発電では、ウランが核分裂する際に発生する熱で水を熱し、その熱で蒸気をつくり、タービンと発電機を回して電気をつくっています。そのベースとなる燃料のウランを固めてつくったペレットは、直径8ミリ×高さ10ミリの小さなもの。このペレット約320個が燃料棒に組み込まれ、さらにその燃料棒264本が長さ約4mの燃料集合体となり、それが193体合わさって原子炉容器に収まっています。ペレットの数でいうと大飯発電所の原子炉1基に約1630万個入っているそうです。ちなみにペレット1個で一般家庭の約半年分の電気をつくることが出来るそう。
    原子炉格納容器は多重防護という考え方でリスクを最小限にする安全対策がとられています。また福島第一原発事故を教訓に、自然災害への備えとして地震や津波、竜巻、外部火災への備えとともに電源の強化、冷却機能の強化、水素爆発の防止、テロなどへの備え、適切な事故対応のための専用施設も設けられていました。発電所に休みは無く、発電所員65人が構内に24時間365日常駐し事故に備えているそうです。そして大飯発電所全体では関西電力の社員と協力会社の社員合わせて約2000人が働いており、定期検査時には3000人を超える人たちが作業にかかわっているそうです。
    日本の食料自給率は38%といわれますが、エネルギー自給率はその3分の1の約13%。世界の主要国と比較して非常に低く、天然ガスや石炭、原油といった化石燃料のほとんどを輸入に頼っています。日本にとってエネルギー資源の安定確保は重要課題の一つとなっています。
    原子力発電所の安全性を中心に今回見学をしましたが、原発の抱える問題は使い終わった燃料の処理です。再処理することで約95%がリサイクルできるとのことですが、再処理されるまでの間、一定期間どこかで保管しなくてはなりません。発電所内に使用済み燃料プールで一定期間保管してから青森県六ケ所村の再処理工場に運ばれますが、発電所内での保管には限界があり、そのために中間貯蔵施設と呼ばれる施設が必要とされています。ではその施設をどこに造るのかという問題が出てくるわけです。原子力発電以外にも水力や火力、風力による発電、また太陽光発電など再生可能エネルギーに頼る方法もありますが、安定供給や資源調達、環境負荷を考えるとどれもメリットデメリットがあるのも事実。そんな中でリスクを最小限に抑えながら様々なエネルギー源を組合わせた電気の安定供給して欲しいと思いました。

    関西電力では関西地域発着の公募型一般向けの原子力発電所の見学ツアーを実施しています。
    詳しくはこちらをご覧ください。