おたかのシネマでトーク
今日は「聲の形」をご紹介しました。
監督 山田尚子
声の出演 入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希
7月18日の京都アニメーションの放火事件では、35人にも及ぶ優秀なアニメーターの方々の命が失われ、日本のアニメ界にとって、その損失は計り知れない。なんと言ったらいいのか、言葉が見つからないぐらいの衝撃で、心からのお悔やみと、一日も早い復活を願わずにはいられない。
何でも東京集中の時代にあって、関西の京都で、素晴らしい上質の作品を沢山世に送り出してきている“京アニ”の存在は、誇らしい。
今月の“オタシネ”は、ハーバーランドの満員の映画館で観た、京アニの思い出の映画「聲の形」を取り上げた。
2016年9月、少ない公開劇場でスタートしたが、口コミで評判を呼び、なんと興行収入は23億円を突破し、2016年度の日本映画全体の興収ランキングで10位に入った。8月に、追いかけるように公開された新海誠監督の「君の名は。」の大ヒットは記憶に新しいけれど、この「聲の形」も、素晴らしい記録と記憶を残した作品。
第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞、第26回日本映画批評家大賞アニメーション部門作品賞、第20回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞などを受賞。
原作は大今良時による漫画。監督は京アニの山田尚子。彼女にとってこれはTVシリーズを挟まない初の映画監督作品だった。
高校3年生の石田将也は、アルバイトを辞め、自分の家財一式を売り払い、そのお金を眠っている母親の枕元に置き、家を出て、橋から身を投げようとする。けれど、飛び降りることは出来なかった・・・。
6年前のある日、小学校6年生の将也のクラスに転入してきたのが、先天性の聴覚障害を持つ西宮硝子。
筆談用ノートでコミュニケーションをとろうとする硝子を、やがてうざいといじめ出すクラスメート達。
硝子の補聴器が何度も捨てられたり壊されたりしたことで、犯人とされた将也の母は170万円ものお金を、将也を責めることもなく弁償していた。けれどそんなことがあって、今度は将也もクラスメートからいじめられる立場になり、硝子も転校してしまい、益々彼は孤立してしまうことになる。
中学になっても友達は出来ず、自分のしてきたことの結果として今の自分の状況があることに絶望し心を閉ざした将也は、やがて自殺を考えるようになる。
そして、硝子の通う手話サークルを訪れ、彼女に謝ろうとするが・・・。
学校では、ひょんなことから永束くんという友達が出来、いい方向に向かうかと思われたが、昔のいじめ事件は尾を引いていて、再び孤立してしまう将也。
硝子一家と花火大会を見に行った将也は、その夜、ベランダから飛び降りようとする硝子の手を掴み、助けようとするが、逆に、彼が転落してしまう・・・。
何ともやりきれないような、でも、もしかしたらどこにでもあるのかもしれない物語の展開に、だからこそ、この映画を観て元気づけられたり勇気を貰ったりという人が多いのだろうし、今回の惨事に対しても、京アニの作品で救われたという人が沢山弔意を表したり、献花に訪れてらっしゃるのも納得だし、犠牲者の方の中に、この作品に関わった方が何人もいらっしゃるようで、失われたものの大きさを思う時、本当にどうしようもなく辛く悔しい。
ただ、会社のサーバーが無傷で残ったというのは、せめてもの幸いだし、こうやってDVDやBDで又作品に出会うことが出来るというのも、せめてもの救いなのかも・・・。
★おたか★