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三上公也の朝は恋人

  • 2020年11月17日(火) 03時52分

    シベリア抑留体験を伝える高砂の田中唯介さん

    第二次世界大戦後4年間、カザフスタンのカラガンダとシベリアで抑留生活を送った経験を持つ高砂市在住のアコーディオン奏者で音楽家の田中唯介さん(95)。極寒の中で飢餓、重労働の捕虜生活を振り返りつつ人生観を綴った「唯生論(ゆいせいろん)」を去年出版。そしてこのほどシベリア抑留に関する記録・表現活動された作品を奨励する「第6回シベリア抑留記録・文化賞」の功労賞を受賞されました。

    きのう高砂市の十輪寺書院で表彰式と受賞記念のミニコンサートが開かれました。

    コンサート前に授賞式

    選考委員の一人で前大阪経済法科大学学長の藤本和貴夫さんから表彰状と賞金・副賞が手渡されました。

    「唯生論」の出版元である株式会社ペンコムの増田ゆきみ代表からは花束が贈られました。

    田中さんが愛用するアコーディオン

    捕虜生活中、凍傷で両手の人さし指を切断するも歌に励まされ音楽に喜びを感じ、収容所で出会ったドイツ人のベルリンフィルソリストにアコーディオンを習われました。

    そして帰国後に生活のため演奏活動を始め、現在は戦争・抑留・引揚の哀歓のドラマをアコーディオンで弾き、語り、唄う作曲家として活動されています。シベリアという氷点下40度の極寒の中で過酷な重労働を強いられ、病気や飢えに苦しみ倒れていった仲間のことなど歌とともに語られました。

    途中からロシア帽をかぶり演奏する田中さん。音楽は軍歌・童謡唱歌・演歌・ロシア民謡と幅広いレパートリー。

    ミニコンサートの後半は長男でギタリストの田中靖剛さんと親子共演。月の沙漠や禁じられた遊び、アルハンブラの思い出などを演奏。

    舞鶴市引揚記念館の建設等に尽力し、現在引揚全国友の会の副会長を務められています。十輪寺内の墓地に墓を建て辞世の句を詠んだ石碑も建てられています。

    今月10日に95歳になった田中さんですが、そうは思えない声量そして行動力。未だに自分の歯で食事をされているそうです。

    抑留体験から命を大切にしつつ自分のやるべきことを貫くことを使命感に燃え続ける田中さん。いつまでも活動を続けて欲しいと願います。

    「唯生論 シベリア抑留の恩讐を乗り越えた音楽人生」
     発行ペンコム A5判 120ページ 1,100円(税込)
     問い合わせはペンコムへ。
     078-914-0391
     株式会社ペンコム