*おたかのシネマDEトーク
今日は「 キング・オブ・シーヴズ 」をご紹介しました。
監督:ジェームズ・マーシュ
キャスト:マイケル・ケイン
ジム・ブロードベント
トム・コートネイ
チャーリー・コックス
ポール・ホワイトハウス
他
2015年、英国史上最高額25億円、平均年齢60歳という最高齢の窃盗団が、イースターの休日を狙って起こしたこの事件は、実話。
ロンドン随一の宝飾店街“ハットンガーデン”の貸金庫を襲い、数々の宝石を盗み出した7人の男たち。
最年長のリーダー、ブライアンは事件当時77歳。演じているのは1933年生まれのマイケル・ケイン。「ハンナとその姉妹」「サイダー・ハウス・ルール」で2度のアカデミー助演男優賞に輝き、「アルフィー」「探偵<スルース>」「ダークナイト」「ダンケルク」最近では20年の「TENETテネット」まで、素晴らしい芸歴を誇る名優。
一度は裏稼業から引退し、妻と共に静かな生活を送っていたが、愛する妻の急逝でかつての仲間たちと再び一仕事することになるブライアン。
この宝石泥棒の話を持ちかけてきたのは、バジル(チャーリー・コックス)と呼ばれる若造。
かなり大がかりな窃盗計画に、ブライアンは昔なじみのメンバーを呼び集める。
67歳のテリー・パーキンス(ジム・ブロードベント)、75歳のジョン・ケニー・コリンズ(トム・コートネイ)、
今回の金庫破りに臨時で雇われた59歳のカール・ウッド(ポール・ホワイトハウス)、61歳のダニー・ジョーンズ(レイ・ウィンストン)、そして60歳のビリー・ザ・フィッシュ・リンカーン(マイケル・ガンボン)という、昔からの気心の知れた仲間たち。
警報機を解除し分厚いコンクリート壁にドリルで穴をあけ、見事、お宝を盗み出すことに成功。
ところが・・・という史上空前の窃盗劇の顛末が描かれている。
とりあえず、これだけの名優たちが一堂に会したというだけで観てみたいとワクワクするし、あらゆるところに監視カメラがあり、インターネットや携帯電話の通話は追跡されるというハイテクな現代を知らない犯人たちの行動や、かつてはテクニックを持っていたが、年老いて体が言うことを聞いてくれないという老犯罪者たちの悲哀は、逆にコメディタッチのおかしささえ生んでいる。
監督はジェームズ・マーシュ。2008年のワールドトレードセンターのツインタワーで綱渡りをしたフィリップ・プティを追ったドキュメンタリー「マン・オン・ワイアー」で、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞に輝いたほか、2014年には「博士と彼女のセオリー」で、スティーブン・ホーキング博士の半生を描き、博士を演じたエディ・レッドメインはアカデミー賞で主演男優賞に輝いている。
実在のアウトローの老人を描いた映画としては、麻薬カルテルから一目置かれ警察を煙に巻いた凄腕の運び屋の正体が、犯罪歴のない90歳の老人だったという、2019年のクリント・イーストウッドの10年ぶりの監督・主演作「運び屋」もあったが、正に“事実は小説より奇なり”、平均寿命が延び、元気な高齢者が増えて行くにしたがって、こんな“映画より映画チック”なお話が現実に増え、映画業界はその題材に困ることはないのかも・・・??
★おたか★