*おたかのシネマDEトーク
今日は「 騙し絵の牙 」をご紹介しました。
監督:吉田大八
キャスト:大泉洋
松岡茉優
宮沢氷魚
池田エライザ
斎藤工
他
神戸新聞在職中に小説家デビューした塩田武士。山田風太郎賞を受賞した2016年の「罪の声」が土井裕泰監督で映画化され、まだ上映中の劇場もあるというのに、もう2本目の映画化作品が公開された。
大いに期待されたのだが、コロナ禍の為の公開延期で、手強い作品と並ぶことになり、初週の興収ベスト3に入ることが出来なかった(「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は相変わらず強いし、「モンスター・ハンター」が2位につけ、3位の「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」にも及ばなかった)のは、本当に残念。
そういえば、前作「罪の声」も、「鬼滅の刃」に負けてしまったことを考えれば、強力な作品とバッティングすれば、なかなか厳しい状況になってしまうということに納得。
斜陽の出版業界、老舗の“薫風社”創業一族の社長が急死し、会社のかじ取りを担うことになったのは機関車のニックネームを持つ専務の東松(佐藤浩市)だった。売り上げが悪い雑誌は廃刊することを始め、前社長の息子伊庭惟高(中村倫也)をニューヨークに飛ばし、外資系の投資ファンドの郡司(斎藤工)と手を組んで大改革を画策する。
カルチャー雑誌“トリニティ”の編集長速水輝(大泉洋)は、伝統ある文芸誌で、江波百合子編集長(木村佳乃)率いる“小説薫風”の編集部員で、大作家の二階堂大作(國村隼)を怒らせてしまった高野恵(松岡茉優)を部下に引き入れ、誌面の大リニューアルを敢行。
超人気モデルの城島咲(池田エライザ)の表紙、恵が目をつけていた新人作家矢代聖(宮沢氷魚)の連載という大胆な企画で部数減少に歯止めをかけるべく勝負に出ようとするが、発売直前、大変なトラブルが勃発する・・・。
作者の塩田武士が大泉洋にあて書きしたという主人公の速水輝。原作ではプライベートな部分もたっぷりと描かれているようだが、113分の映画にまとめるにあたって、そのあたりがバッサリと割愛されている。原作と異なる結末も含め、脚本を書き監督したのが「桐島、部活やめるってよ」や「紙の月」の吉田大八。楠野一郎と共に書いた脚本では、原作のどこを活かしてどこを切るかを潔く整理し、まとめ上げている。
ただ、そのバックボーンが端折られてしまったせいで、速水はヒーローなのか、悪者なのか?が掴みづらく、とらえどころがない感じだし、沢山のひとくせありそうなキャストが入り乱れての群像劇で、後半はかなりのスピードでの展開に。
あて書きされた人物を演じるのは、ある意味楽かと思いきや、あまりに大泉洋的だというのでNGが出たりと、結果、おそらくこれまでやってきた作品の中で、一番素の自分とかけ離れた映画になったと思う、と本人が言う程の大変だった速水役への挑戦。
昨年は紅白歌合戦や「SONGS」の司会、来年はNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で源頼朝を演じるなど、大忙しの大泉洋。
中心にいるのにすごい存在感で迫ってこないのもいい感じで、この映画も松岡茉優のほうが主人公?って思えるところが、なんか好きです!
★おたか★