地球環境にやさしい水素とバイオ燃料で動く国内初の旅客船「HANARIA(ハナリア)」がこのほど神戸港にやってきました

11月27日(木)~29日(土)に神戸で開かれた、海洋分野における国内唯一の総合的・国際コンベンション「テクノオーシャン2025」の開催に合わせ初めて来港

「HANARIA」は東京に本社を置く商船三井テクノトレードが所有する旅客船で、広島県福山市の本瓦造船で建造され2024年3月に竣工しました。全長33.0m、総トン数238㌧、旅客定員は103人で、普段は門司港・小倉港・唐戸港など関門海峡一円を航行しています。

この船の凄いところは世界で初めて水素燃料電池とリチウムイオンバッテリー、バイオディーゼルを組み合わせたハイブリッド型電気推進システムを採用し、CO₂などを排出しないゼロエミッション航行が可能なことです

船尾に水素タンク8基(約150kg)積載し、これだけで4時間の航行が可能だそう。水素の充填は燃料電池自動車(FCV)と同様に陸上の水素ステーション(2023年3月現在全国179か所)で充填します

発電ユニットの動作モードは、「停泊モード」「航海モード」「陸上電源充電モード」の3つのモードがあり、航海モードでは「ゼロエミッションモード(燃料電池+リチウムイオンバッテリー)」「ハイブリッドモード(燃料電池+リチウムイオンバッテリー+発電機)」などの選択が可能だそう

デザインにもこだわりがあり、丸みを帯びた外観は海に浮かぶ卵をイメージしているそう

騒音・振動を抑えた快適な空間の1階客室

前方には98インチモニター・プロジェクターが設置され研修利用なども可能(座席レイアウトは変更可能)

オープンエアの2階デッキ

最小限の屋根設置で開放的。花火大会などは障害物なく楽しめそう・・・

船名の「HANARIA」という名前は華々しく歌曲を奏でる「HANA+ARIA」の造語で、優雅で次世代燃料旅客船として活躍してほしいという願いが込められています

操舵室(コックピット)

最先端の船らしいスタイリッシュなデザイン。船長の野坂真司さんによれば操船については通常の船舶とほぼ変わりはないとのこと。最適な機器配置で操船性を高めています

港着岸時に使用するバックミラーが左右前方についていました

「HANARIA」は優れたデザインと技術が評価され「シップ・オブ・ザ・イヤー2024」と「Marine Engineering of the Year(土光記念賞)2024」を史上初めてダブル受賞しています

その受賞記念プレートの横には神戸入港記念のプレートも掲げられていました

船内に飾られていた「HANARIA」のペーパークラフト

そして神戸港内体験航海に出発!

当初はバイオディーゼル発電による運航(神戸空港を飛び立つスカイマークのポケモンジェットが見えました)

航行の途中で発電機を止めゼロエミッションモードで走行。エンジン音がしないのでとにかく静か。ぷかぷかと海に浮かんでいるだけかと思うと前に進んでいる、なんとも不思議な体感でした

プロジェクターに映し出されていた航行シーン

このほど関門エリアからやってきた「HANARIA」ですが、神戸は就航後最も遠い港となったようです。山口県の柳井、愛媛県の今治、そして香川県の小豆島を経由して4日かけて神戸にやってきたのです。ちなみに出港は今日12月1日朝とのこと。帰路時は造船所のある広島県の福山へ向かうということです。神戸には水素ステーションもあるのでまた立ち寄って欲しいものです

















































