11月8日は語呂合わせで「いい歯の日」ということで、大阪歯科大学 医療保健学部口腔工学科 教授の中塚美智子さんをゲストにお迎えして、歯科衛生士と歯科技工士の役割についてお話を伺いました。

私たちが普段何気なく受けている歯科医療の中には、実は多くの専門職が関わっています。
まず「歯科衛生士」は、お口の中を清潔に保ち、虫歯や歯周病を予防するプロフェッショナルです。歯のクリーニングや口腔ケアを通じて、口の中の健康だけでなく、全身の健康にも関わる重要な役割を担っています。歯科助手と混同されることも多いですが、歯科衛生士は国家資格を持ち、口の中を直接触れる医療専門職です。
一方で「歯科技工士」は、失われた歯の機能を補うための義歯(入れ歯)、差し歯、詰め物、マウスピースなどを作製する、いわば“歯の職人”です。患者一人ひとりの口の形や噛み合わせは異なるため、色や形を合わせて精密な技術で装置を仕上げていきます。そのものづくりには高度な手先の技術と、医療への深い理解が欠かせません。
しかし近年、歯科技工士のなり手が減少していることが問題になっています。技術習得に時間がかかることや、一般の人が仕事内容を知る機会が少ないことが要因として挙げられています。
高齢化が進む中で入れ歯や補綴物の需要が増えることを考えると、今後ますます重要性が高まる仕事であるにもかかわらず、現場では人材不足が深刻です。
さらに、歯科技工の現場ではデジタル化も進展しています。以前は型取りに粘土状の材料を使うことが一般的でしたが、現在では口腔内スキャナーで撮影したデータをもとに歯の形状を設計するなど、新しい技術と手作業が融合した“ハイブリッド”な現場へと変わりつつあります。
また中塚さんが紹介された簡単な口腔トレーニング「ベストスマイル」は、口角をしっかり上げて歯を見せ、笑顔を作るだけで表情筋を鍛えることができるというものです。朝の歯磨きのついでにできるため、どなたでも取り入れやすい習慣です。
歯と口の健康は、食べる、話す、表情をつくるといった日常生活の基本を支える大切な要素です。「いい歯の日」をきっかけに、一度改めて口腔のケアと、それを支える専門職の存在に目を向けてみませんか?







