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寺谷一紀のまいど!まいど!

  • 2025年9月28日(日) 10時00分 まいど!いらっしゃい!ようおこし!

    世界を股にかける料理人 再び!

    9月26日のゲストは、世界を舞台に活躍する料理人・椛島剛さんに、久しぶりにご出演いただきました。

    現在、椛島さんはドイツ・フランクフルトに拠点を置き、航空会社の機内食を手がけるシェフとして活動しています。

    これまで、イギリス、スイス、アフリカのザンビア、そしてドイツとインドを渡り歩き、日本料理を広めてきた椛島さん。どの国でも日本料理に対する関心は高まっているものの、その理解やイメージには偏りも多く、苦労も絶えなかったそうです。

    特にドイツでは、「日本料理=唐揚げやラーメン」といった誤解が根強く、本格的な和食を提供することに大きな壁があったといいます。それでも粘り強く取り組み、蕎麦屋で日本食を広める機会を得て、現地での和食の認知度を高めていったそうですよ。

    現在手掛けている仕事は、航空会社から依頼を受け、日本料理のメニューを各国の調理現場に伝えること。レシピをただ再現するのではなく、現地スタッフに調理方法を指導し、日本食を知らない人でも作れるよう工夫しています。

    卵焼きや煮物といった日本独自の料理を理解してもらうのは一苦労ですが、その努力の積み重ねで、世界の空に和食を届けています。

    しかし最大の課題は食材調達。例えば日本では当たり前の「がんもどき」も、現地では材料が揃わず試行錯誤が必要です。また、出汁文化に馴染みのない国では、昆布や鰹の旨味が理解されず、味の再現に苦労することも。だからこそ「和食は水墨画、西洋料理は油絵」という独自の比喩で、その繊細さを伝え続けています。

    世界的に寿司やラーメンは人気を集めていますが、薄味で素材の旨味を活かす本来の和食は「味がない」と受け取られることも多いそうです。それでも、健康志向の高まりやリトルトーキョーと呼ばれるデュッセルドルフの盛り上がりなどを背景に、和食が正しく理解される土壌は少しずつ広がっています。

    「和食を世界に正しく伝える」――その使命感を胸に、椛島さんは今日も空を越えて料理と向き合っています。