日本のクリスマスといえば、真っ白な生クリームに赤いイチゴが飾られた丸いケーキを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
このスタイルのケーキは、実は日本独自に発展したクリスマス文化の象徴なんです。
そこで今回、番組ではおなじみとなりました大東市・東大阪市の「菓子工房レジェール」のパティシエ、水田総一郎さんに、そのルーツと魅力を伺いました。

水田さんがスタジオにお持ちいただいたのは、ふわふわのスポンジに濃厚な生クリーム、そして鮮やかなイチゴが輝く、まさに「日本のクリスマスケーキ」。
実は、海外ではクリスマスにケーキを食べる文化はむしろ少数派で、イギリスはスパイス入りのケーキ、スペインではドーナツ状の「ロスコン」、イタリアはパネットーネ、フランスはブッシュドノエル、ドイツはシュトーレンなど、国ごとに全く異なる伝統菓子があります。
こうして比べてみると、日本のショートケーキがいかに独自の進化を遂げた存在なのかが分かります。
そのルーツは大正時代までさかのぼります。洋菓子メーカー「不二家」の創業者がアメリカで出会った「生クリームとイチゴを使ったケーキ」に感銘を受け、日本に持ち帰ったことが始まりだそうです。
当初はクッキー生地が使われていましたが、日本人の嗜好に合わせてカステラをベースにしたスポンジが生まれ、戦後の冷蔵技術の普及とともにショートケーキ文化が広まっていきました。
さらに面白いのは、白いクリームに赤いイチゴを合わせるデザインが「紅白」を連想させ、日本人の祝い事の感覚とマッチしたという説。和洋折衷の象徴として、日本のクリスマスケーキが定着したというのも納得です。
水田さんの「レジェール」のケーキは、スポンジは一般的なケーキより粉を少なめにし、卵の比率を高めることで驚くほどしっとりとした口どけを実現。生クリームも通常30~40%の脂肪分に対し、レジェールはなんと47%というリッチな配合。それでいて重さを感じない軽い後味が特徴なんです。
また「レジェール」では、クリスマス当日に予約なしで訪れた人でもケーキを買えるよう、必ず店頭在庫を用意しているとのこと。
クリスマスが近づくと、一年で最も多くのイチゴが洋菓子店へと運ばれます。イチゴをふんだんに使ったこのケーキは、日本の冬を彩る大切な文化の一つです。
今年は、そんな歴史とこだわりに思いを馳せながら、日本ならではのクリスマスケーキを味わってみてはいかがでしょうか。






