9月18日のゲストコーナーには、追手門学院大学 学長の真銅正宏さんをお迎えしました。
2026年に創立60周年を迎えた追手門学院大学。開学当初は文学部と経済学部の2学部から始まり、その後大きく成長しました。
2014年ごろには5学部、約5000人規模でしたが、学部の新設や改組を進め、現在は9学部、収容定員約1万人の大学へ。さらに理工学部の開設によって文系・理系の双方を備える総合大学となりました。
2019年には茨木総持寺キャンパスを開設し、2025年には新たな校舎も完成。現在は約9000人の学生が総持寺キャンパスで学んでいます。芝生や学生がくつろげるスペースも整備され、単に授業を受けるだけではない、新しい大学の姿が生まれています。
そして現在、真銅さんが、特に力を入れているのがAI時代に対応した教育です。
大学では、生成AIを使ってレポートや論文を作成することへの懸念もあります。しかし真銅学長は、AIを遠ざけるのではなく、「きちんと使いこなせる学生を育てる」ことが重要だと話します。
その一方で、AIの答えをそのまま受け入れるのではなく、それが正しいのかを判断するのは人間です。そこで追手門学院大学が新たな教育方針として掲げたのが、「しなやかで研ぎ澄まされた総合的人間知性を育む」という考え方です。AI時代だからこそ、人間自身の知性を磨く必要があるというわけです。
大学ではすでにAIを教育支援にも活用しています。学生が利用するアプリにはAIアドバイザーを搭載し、学内の成績や履修状況、図書館利用などのデータをもとに、一人ひとりに合わせたアドバイスを行う仕組みを導入しています。将来の希望に応じて「こんな授業を取ってみては」と提案することもできるそうです。
そして学長という立場を離れた真銅さんの専門は日本近現代文学。永井荷風などの研究から始まり、近年では文学作品に登場する「匂い」「食べ物」「触感」など、人間の五感と文学の関係を研究してきました。
その研究は、現在の大学教育への考え方にもつながっています。
オンラインで知識を得ることが当たり前になった今でも、学生たちは大学に来て対面で授業を受けたがるといいます。それは知識だけでなく、先生の声を聞き、友人と同じ空間にいて、会話を交わすという「リアルな感覚」があるからではないか。
真銅さんは、大学を「勉強だけをするところではなく、人間体験をするところ」と表現します。
AIを積極的に活用しながら、同時に人との出会いや五感、コミュニケーションを大切にする。追手門学院大学が目指しているのは、そんな新しい時代の大学教育です。
そして4年間ですべての知識を教えるのではなく、卒業後も自ら学び続けられる方法を身につけてもらうこと。それが真銅さんの考える大学教育の理想なのです。




